大山(1997.8.20)


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 進学してめっきり少なくなってしまった夏休みであるが、せっかくもらえた夏休みだからこそどこかへ行ってみたくなる。しかし、日程的に泊まりがけはきつい。そこで、近場ではあるが伊勢原市に鎮座する大山という山へ、気軽な気持ちで登ってみることにした。小田急線で降り立った伊勢原の街は意外と大きくて驚いたが、大山ケーブルの乗り場へ導くバスに身を任せていると、道がだんだん細くなるにつれ周囲は山深くなってきた。

 バスの終点からケーブルカーの乗り場までは案外にぎやかな仲見世通り状態になっていた。素朴な山を想像していたので少し驚いたが、それだけ住民に大事にされている山だということになるのだろうか。ケーブルカーはいとも簡単に、私を大山神社の下社まで導いてくれた。大きな神殿の周りに、ここにもにぎやかなお休み所が形成されている。

 ここから山域へ入るのは、本来はご開帳の時のみ許される行為だったらしい。今では門が必ず半分開かれていて、いつでも誰でも入っていけるようにはなっている。しかしこれが、想像よりもはるかに険しい山だった。ああいう、全身から水が滴り落ちるような汗のかきかたをしたのは久しぶりのことだった。最近運動らしい運動をほとんどしておらず、体力ももはや下降線をたどっているのだということを、聖なる大山はまざまざと見せつけてくれた。

 山道は総じて鬱そうとしていたが、登ったら登ったで、下は晴れてたのに,さすがは別名「雨降山」って感じのどんよりでいい景色が見られたわけでもないし……でもしばらくするとうそのように晴れて、ちょっと霞んでたけど,平塚通り越して海まで何とか見えたし、まあよかったということになろうか。それなりに涼しくて、あんなにかいた汗もすぐに引いてしまった。

 下りの山道も鬱蒼としていた。時々ある休憩所からは、木々にのみ囲まれて野性的な雰囲気の緑色の山肌、そして霞のかかった下界を見ることができる。さっきまであんな所にいたのかと、もはやかなり上方へ遠ざかってしまった山頂を見て、私はしばらく感慨のようなものに浸っていた。

 下社まで下山すると、さっきのにぎやかなお休み所が出迎えてくれた。いわれは知らないが豆腐料理が名物らしい。いただいた豆腐アイスクリームが、冷たくてとてもおいしかった。


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